プロジェクトストーリー

PROJECT STORY

目に見えるものだけが商品ではない。
一流のブランドには人を魅了するストーリーがある。

J.O

M.N

時計・ブランドジュエリー
営業DIV
グループマネージャー

K.A

T.K

ブランドバッグ&ビューティ
営業DIV
アシスタントマネージャー

K.A

K.S

ブランドバッグ
企画開発DIV
グループマネージャー

国内はもちろん、世界中から優れたいいものを探し出し、マーケットに流通させていくのが商社の事業である。中でも海外ブランド商品は景気の影響を受けにくく、根強い人気で商社にとって安定した売上をもたらせてくれる存在と言える。しかし一方で、商品戦略や販売戦略など海外ブランドと足並みを揃えての展開を図るため、当然世界情勢のあおりも受ける。
そこで求められたのが、自らブランドを立ち上げ、企画・製造から販売までをワンストップで手掛けていく新たなビジネスモデル。時計・バッグなどブランドマーケットで主力となる商品ジャンルに、メンズブランド『フルボデザイン』、レディースブランド『ルビンローザ』が誕生した。それからおよそ15年。好調な実績を築いてきたドウシシャブランドに、大きな転機が訪れる。世界経済を襲った『COVID-19』。新型コロナウイルスによって、消費者の購買動向に大きな変化がもたらされたのだった。

商品を手に取ることができない。コロナ禍でのブランドビジネス。

世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。密を避けるため、オフィスワークからリモートワークへ、リアル店舗でのショッピングはオンラインへと生活様式が大きく変わっていった。観光、交通、外食などさまざまな業界が経済的ダメージを受ける中、流通業界にも大きな影響が及んでいた。

「商品を手に取って見ることができない中、いかにして商品の魅力を伝え、ユーザーに届けるか。ブランド展開そのものをイチから考え直すことが今の時代には求められています」。そう語るのは、時計・ブランドジュエリー営業DIV グループマネージャーのM.Nである。従来のように、ドウシシャの大きな強みである流通業界とのつながりを活かした店頭販売に代わる販路として注目したのが自社ECサイトによる販売強化である。

魅力ある商品を生み出す企画力と、流通業界が持つ高い販売力による相乗効果によって、ドウシシャの事業は急成長を遂げてきた。一方のオンラインによる販売は、大手ECモール、自社ECサイトという媒体を介して、いかにして商品の魅力を伝えるべきかがポイントとなり、これまでとは全く違う発想、手法による事業戦略の立て直しが求められていた。

ブランディングとは、1人でも多くのファンを作っていく作業。

新たな課題に対する答えとして注目されたのが、ブランディングそのものの強化であった。「ブランディングとは、商品の品質や価格などの他社と比較できる部分とは別に、付加価値を創っていくこと。まずは、その商品・ブランドが、ユーザーにとって自分と関わりのあるモノとして認知されることが重要です」。そう語るのは、ブランドバッグ企画開発DIV マネージャーのK.Sである。K.Sの仕事は、単に商品の企画にとどまらない。バッグ・時計といったブランド商品のプロモーション戦略のプランニングを手掛けることが、大きなミッションである。

商品の品質や価格以外の価値とは何か。その答えの1つが、商品とユーザーの接点づくりと言えるだろう。例えば『フルボデザイン』の場合、メンズブランドだけにバッグ・時計・ネクタイといったアイテムを使うのは男性である。しかし、必ずしも男性だけが購入者とは限らない。女性から男性へのプレゼントとして購入されるケースも十分にありえるのだ。ネクタイ単体を販売するのではなく、バレンタインやクリスマスプレゼント、誕生日のプレゼントにマッチしたパッケージやプロモーションによって、プレゼントアイテムとして新たな購入層に提案する。これこそが付加価値であり、ブランディングの手法である。他にも、男性のライフスタイルを想定したブランドストーリーを作成し、それと連動するかたちで、自転車が趣味のユーザー、音楽が好きなユーザーなどに向けたアイコンや付属品を商品にプラスすることで新たな接点を多く作り出し、ブランディングの強化を図っていくのだった。

統一感のあるストーリーとより親近感の沸くコーディネートビジュアルで、
ブランドの魅力を高めていく。

ユーザーとの接点づくりによる創意工夫、商品改良によって新たなファンを獲得していくドウシシャのオリジナルブランド商品。その一方で、オンラインによる販売という課題にも直面していた。コロナ禍におけるブランドビジネスの在り方とは何か。ここでドウシシャのブランド事業のプロモーション戦略に新たな一手が必要とされていた。

「リアル店舗(オフライン)での販売は、店舗の客層や志向性に応じて、商品やブランドの見せ方、扱いを変えるのが当然でした。そこにさまざまなノウハウを持つのがドウシシャの強みであったわけですが、オンライン販売の場合、この考え方を大きく変える必要がありました」。大手ECモールなどオンラインでの販売強化を進めるM.Nたちが取った戦略は、ブランドイメージの統一と、コーディネートビジュアルの強化であった。大手ECモール内での販売ページのテイストをブランド毎に統一することや、よりエンドユーザーに親近感を感じてもらうべく、コーディネート画像の強化を図った他、ブランドオフィシャルである自社ECサイトでは、テイストを整えると同時に、ブランドイメージの向上と定着を図るためのコンテンツづくりを強化。いつ・誰が見ても同じイメージ、コンセプトが伝わるように図っていった。

こうした取り組みがもたらすのは、商品単体のファンの獲得ではなく、ブランドそのものに関心を持つファンの獲得である。ストーリー性があり、同じブランドのアイテムを揃えたくなるような魅力の訴求。そこから生まれる新たなファンが、今後のブランド事業の土台を支える顧客層となるのである。

ユーザーへ直接商品を届ける『D2C』ビジネスの確立に向けて。

既存ブランドのリブランディング戦略、コロナ禍にある市場ニーズに応えるオンライン販売の強化。この2つの施策によって、着実に成長していくドウシシャのブランド事業。だが、その取り組みはまだ道半ばと言わざるを得ない。「コロナによって本当に必要とされるものが何かが問われる今の市場。果たしてブランド商品が必要なのか。そこから考え、さらなる事業の成長を進めていく必要があると思います」。そう考えるのは、大手ECモールでの販売、自社ECサイトに携わるブランドバッグ&ビューティ営業DIVのT.K。若いユーザーに向けたブランドアイテムの販売強化を手掛けている。

彼が言うように、今はブランド商品の真価が問われる時代である。従来とは全く違う発想、新しいビジネスモデルが求められる状況にある中、ドウシシャが新たに目指しているのは、自分たちで商品を企画・製造し、自らの手でユーザーに届ける『D2Cブランド』の設立である。中間流通業者を通さずに、自社のプラットフォームを通じて商品を直接販売するこのブランドビジネス。ユーザーニーズをとらえたタイムリーな商品企画、スピーディな開発、そしてマーケティングから販売までが完結する完成度の高いビジネスモデルである。メーカーとエンドユーザーの距離を縮め、必要とされるモノをタイムリーに提供できる形が、これからの市場をリードしていくであろう。もちろん、全く新しい事業を作り上げるのは簡単ではないが、ドウシシャは確実にその一歩を踏み出そうとしている。ユーザーの心を惹きつけるストーリー性のある商品、ユーザーの接点を作り出すブランディング、そしてユーザーの声を商品づくりに反映するマーケティング。そこから、どんな商品が、ブランドが新たに生まれてくるのか。大きな期待と注目が寄せられている。